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「指導・監査による医師の自死防げ」、議連発足へ石井・参院厚生労働委員長 - 津曲

2013/09/11 (Wed) 09:04:38

http://www.m3.com/iryoIshin/article/180428/?portalId=mailmag&mmp=MD130910&mc.l=19663675
指導監査と処分

「指導・監査による医師の自死防げ」、議連発足へ

健保法改正研究会で石井・参院厚生労働委員長

2013年9月10日(火) 橋本佳子(m3.com編集長)



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 9月8日に岡山市で開催された、「指導・監査・処分改善のための健康保険法改正研究会」の第2回シンポジウムで、同研究会の副代表で、参議院厚生労働委員会委員長、歯科医師の石井みどり氏(自民党)は、近く「指導・監査・行政を考える議員の会」(仮称)を発足させることを明らかにした。石井氏はこの7月の参院選で個人公約として、「保険医を不安と混乱に陥れ、委縮医療を引き起こしている不適切な個別指導を是正する」ことを目指し、健康保険法などの法整備を図ることを掲げていた。10月半ばに臨時国会の召集が予定されており、それ以降、早急に立ち上げることを目指す。


研究会副代表で、参議院厚生労働委員会委員長、歯科医師の石井みどり氏。
 石井氏は、指導や監査を機に医師、歯科医師が自殺する例が後を絶たない現状について、「特殊なケースではない」と強く問題視。「我が国の医療は社会主義そのもの。医療費適正化のために平均点数が高いという理由で指導の対象とされる。患者のためにより良い診療をした結果として高点数になっているのに、なぜそれを抑制するのか。個別指導を受けた人は皆、『あんな思いを二度としなくない』と言う。人格が否定され、医学的な根拠を持って説明しようとしても、聞く耳を持たない」と述べ、指導・監査の制度と、行政の対応を批判した。

 健保法改正のハードルは高いことから、まず指導に当たっては、弁護士の帯同を求め、記録を取るとともに、疑義がある場合には担当官と議論し、指導が不適切な場合には異議を申し立てるなど、毅然とした態度で対応する重要性を強調。また健保法改正は、弁護士の「帯同」ではなく、指導・監査において保険医が弁護士を選任する権利を確立し、保険医の人権を確保できる環境を整えることが、「最初の一歩」であるとした。

 石井氏は、「憲法が保障する国民の健康的生存権の理念実現には、国民の医療を受ける権利を保障することが必要であり、そのためには医師の診療権(保険診療実施権)を保障しなければならない」と語り、「私の選挙公約の一丁目一番地が健康保険法の改正」と、改めて決意を表明した。

 『保険医への「恫喝」の防止策を考える』がテーマ

 「指導・監査・処分改善のための健康保険法改正研究会」は、指導・監査に関心を持つ、全国の弁護士や医師らで構成し、2012年2月に発足した。2人の弁護士、井上清成氏と石川善一氏が代表を務める。


研究会代表で弁護士の井上清成氏。
 井上氏は、2007年12月、保険医登録と保険医療機関指定の取消処分、それに伴う鳥取県東部医師会の退会をめぐるトラブルを機に自殺した鳥取の開業医、増田聡子氏の事件を担当している(『自殺した開業医遺族、鳥取県東部医師会と調停へ』を参照)。増田氏の遺族は、同医師会と元会長を相手取り、事実関係の説明を求めて調停を申し立ている。石川氏は、保険医登録と保険医療機関の指定の取消処分取消を求めた、甲府市のみぞべこどもクリニックの溝部達子氏の裁判を担当(『国が上告断念、「保険取消は違法」が確定』を参照)。同裁判では2011年5月の東京高裁判決で、溝部氏が勝訴している。

 9月8日のシンポジウムのテーマは、『なぜ増田聡子医師は自死したか? 保険医への「恫喝」の防止策を考える』がテーマ。増田氏、溝部氏の事案のほか、この6月に保険医療機関の指定取消処分を受けた奈良県の東朋香芝病院の事案(『国が即時抗告を断念、奈良香芝病院問題』を参照)などをはじめ、各地の指導・監査の現状や取消処分の動きが紹介された。改めて浮き彫りになったのが、医師およびその弁護士側は法律や根拠に則った運用を求めるものの、行政は指導という名の下、曖昧な運用しており、指導・監査の制度そのものと運用について、改善の余地が大きいという点だ。

 井上氏は、指導・監査に立ち会う自身の経験を踏まえ、「弁護士の帯同すらまだ確立していない県がある。きちんと説明しようとしても担当官に遮られるなど、適切な指導・監査がなされていない。地方厚生局によっても、対応にバラツキがある。法律改正以前に、実務で改善しなければいけないことが多々ある」と述べ、泣き寝入りをせず、多くの事例を集め、問題点を整理・分析し、改善につなげる取り組みの必要性を強調。


研究会代表で弁護士の石川善一氏。
 石川氏も、指導・監査には、「実体面と手続き面で問題がある」と指摘。実体面の問題について、石川氏は、「この1年間、いろいろな相談を受けたり、指導・監査に帯同したが、『不当検査、必要な限度を超えた投薬』などと言われることが多々ある。限度を超えているかどうかは明確ではなく、話し合わないことには分からない。しかし、現場のローカルルールで判断され、それを基に個別指導が行われている」と説明。例えば、みぞべこどもクリニックの場合、「インフルエンザの迅速検査を、1シーズンに3回以上実施する」ことが問題とされた。手続き面についても、「(自死などの)悲劇を繰り返さないためには、(行政処分の前に行われる)聴聞では代理人が認められているように、指導・監査でも代理人が選任できるようにするべき」と訴えた。

 研究会副代表で、青森市で開業する大竹進氏は、過去に指導・監査を機に自死した医師、歯科医師の事例を紹介。大竹氏が知る限りでも、2007年には、増田氏のほか、3人の歯科医師が自死したという。「複数の問題が生じた2007年前後に、医療界で何が起きていたのかを検証する必要がある」と指摘。青森では、2009年に「保険医への行政指導を正す会」を設立している。「自死は社会構造的な問題であり、予防するには実態解明が必要」と述べ、医師らが立ち上がることの重要性と健保法改正の必要性を強調した。


研究会副代表で、医師の大竹進氏。
 DVD『恫喝―消された保険医資格―』を作成

 鳥取の増田聡子氏の事例は、井上氏のほか、聡子氏の夫で横浜市で開業する増田肇氏が説明。両氏が特に問題視したのは、指導・監査の手続き上の問題だ。

 増田聡子氏は、2007年7月25日に個別指導を受け、その後、4回の監査を経て、同年10月31日に取消処分を受けている。同12月末に自死した。井上氏は、「増田氏のケースは、他の多くの事例と共通している」と指摘。(1)個別指導の指摘内容に対しては、当該医師なりの考えがあるが、その部分が勘案されないまま、監査に至っている、(2)監査では先に結論が見えており、途中でうつ状態になっていたにもかかわらず、監査が続けられた、(3)取消処分を決める地方社会保険医療協議会も、結論ありきであり、十分な議論がなされていない、(4)監査の結果、自主返還を求められる場合、短期間に過去5年分のカルテを精査し、対応することが求められ、作業量は膨大である上、精神的、経済的負担も大きい――など、各プロセスに問題があるとした。

 特に(2)について、井上氏は、「『悪いことをやっているのだから、悩むのは当たり前。自業自得だ』という姿勢で、監査を続行することは大変問題。人権感覚が完全に欠如している。うつ状態などが疑わしい場合には、中断するなどの対応が必要。増田氏の場合にも、うつ状態がひどくなったのなら、監査を止めることはできなかったのか。聴聞の場でも十分なことを弁明できていない」と、行政の対応に問題が残るとした。

 また、増田肇氏が鳥取県東部医師会に調停を申し立てた理由について、井上氏は、「取消処分を受けたために、退会届を提出したが、医師会はそれを保留して、裁定委員会を2度も開催した。退会届を出したら、医師会との関係が切れるはずだが、なぜ裁定委員会にかけたのか。それを明らかにするのが目的だった」と説明。ただし、調停は双方の意向がかみ合わず、9月5日に不成立で終了した。今後の対応は現在、検討中だという。


指導・監査を機に自死した増田聡子氏の夫で、横浜市で開業する増田肇氏。
 増田肇氏は、聡子氏は患者に向き合い真摯に診療していたと説明するとともに、当時の指導・監査、処分に至る経過を紹介。指導・監査でも、医師会の役員が立ち会っており、地方社会保険医療協議会にも医師会員の委員が入っているが、「事実と違ったり、(指導を受ける医師を)軽蔑したり、非難する発言が見られた」と、同協議会の議事録を基に問題視した。その上で、増田氏は、(1)行政処分は行政による一方的な処分で、国民の立場に立っていない、(2)最初から結論ありきの行政官のみによる監査を改め、諸外国のように、医師会員・法律家・一般人等による監査制度を立ち上げるべき、(3)個別指導は、医師が主体になって実施すべきだが、その場合、指導される医師と利害関係のない医師が行うべき、(4)行政処分を追認し、調査権限も能力も持たない地方医師会の裁定委員会が、自らの会員を処分するのは、重大な人権侵害――とまとめた。

 なお、増田氏の三男の増田仁氏は、今回の事件について、『恫喝―消された保険医資格―』というタイトルのDVDを作成。「真実を知っていただくために、また母の名誉を回復するために作成した。何十人も取材する中で、何人もが、母と同じように暴力的な指導・監査を受けていることが分かった。母の死をムダにしないためにも、その実態を知る資料として活用してもらいたい」(仁氏)。

 「医師としての人格が否定された」


みぞべこどもクリニックの溝部達子氏。
 みぞべこどもクリニックの溝部氏は、自らの経験を、「個別指導は初めに結論ありきだった。個別指導では高圧的な調査が行われ、医師としての人権が否定され、『私は日本にいるのだろうか、日本でこんなことが起きているのだろうか』とさえ思った」と改めて当時を振り返った。

 さらに、溝部氏は、指導・監査、さらには取消処分の根拠も問題視。例えば、取消処分に先立つ聴聞において、文書開示請求をしたが、患者氏名は黒塗りだったため、どの患者のどの診療内容が問題視されたのか、どんな理由で取消処分を受けたのかが、正確には明らかにならなかったという。溝部氏は、「制度が変わらない限り、悲劇は何度も繰り返される」と訴え、指導・監査の制度改正を強く求めた。

 「これが行政のやり方かと正直、驚いた」

 東朋香芝病院のケースは、井上氏と、同事例を担当した弁護士の山田瞳氏が紹介。


東朋香芝病院の事案を担当する、弁護士の山田瞳氏。
 山田氏は、まず「病院側は、監査の途中から、不当と指摘されている内容について、一部認めるところがあったので、返還をしたい、反省を示したいという意向を持っていた。ただし、その対象範囲を明らかにすることを求めても、地方厚生局からの返答はなく、返還したくてもできない状況だった」と説明。さらに、取消処分に先立つ聴聞についても、「聴聞通知書が発布されるが、記載の内容を弁護士数人で読んでも、何が書いているのかが分からなかった。これが行政のやり方かと正直、驚いた」と述べ、処分の手続き、引いては取消処分の根拠の不明瞭さを指摘。「聴聞のやり取りでも、病院がどんな事実で処分されるのか、何度も聞いたが、『重複する質問はやめてほしい』と言われる場面もあった」と山田氏は指摘するとともに、将来の訴訟に備えるためには、聴聞の手続きでは争点を引き出す重要性を訴えた。

 東朋香芝病院の件では、安定的な診療の継続と職員雇用の観点から、監査の頃から大阪府下の医療法人に病院を譲渡する方向で検討していた。これに対し、奈良県は、後継病院を公募(『後継に2法人が応募、奈良香芝病院問題』を参照)。大阪府下の医療法人は、開設許可申請の書類自体を受け取ろうとしなかった県を相手に「病院開設許可申請拒否処分取消」「不作為の違法確認」などを求め、提訴している。井上氏は、「県がまともな答弁をしないので、2回の口頭弁論で結審した。県が追加の書面を出すとしたが、裁判所は不要だとした。行政は、法律で認められた以上のことを、指導という名のもとでやっている。これは、裁判に訴えても是正しなければいけない」と強気の構えだ。判決は10月31日の予定。

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