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保険医の人権を守れ!指導大綱・監査要綱の改正案 - 津曲

2016/08/29 (Mon) 11:11:22

https://www.m3.com/news/iryoishin/451994

保険医の人権を守れ!指導大綱・監査要綱の改正案


健保法改正研究会が公表、「集団的個別指導」廃止も提案

レポート 2016年8月27日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)




 医師や弁護士の有志らで組織する「健康保険法改正研究会」は、保険診療に関する指導と監査を手続き上で分離したり、レセプトが高点数の医療機関をターゲットとする「集団的個別指導」の廃止、保険医の人権擁護の視点から適正な手続きを踏んで指導・監査を行うことなどを盛り込んだ、健康保険法、指導大綱・監査要綱の改正案をまとめた。8月21日に福岡市で開催した第5回シンポジウムで公表した。今後、これらの案を厚生労働省や国会議員などに働きかけていく予定(資料は、同研究会のホームページ)。



弁護士の井上清成氏。

 健保法改正研究会の共同代表で弁護士の井上清成氏は、m3.com編集部の取材に対し、昨今の指導や監査をめぐる動向を踏まえ、「指導大綱、監査要綱、または健康保険法自体を改正する動きが、来年度くらいを目指して進むのではないか、と推測されるようになってきた。これが実現すれば、久々の大幅な改正になる。このタイミングで、本研究会がこれまで考えてきたことをまとめ、改正案を提示する目的で、約1年前から研究会内で議論していた」と経緯を説明。

 その上で、井上氏は次のように述べ、行政の恣意性などを排除するためにルールを明確化、保険医の人権にも配慮し、指導・監査が適切に行われる体系を目指すのが改正案提案の狙いだと説明する。「 今の個別指導は、教育的指導ではなく、監査に似ていて、不正・不当の疑いのあるものをふるい分けているイメージが拭えない。比喩的に言えば、刑事事件には、強制捜査と任意捜査があるが、監査は強制捜査、個別指導は任意捜査に例えることもできる。しかし、個別指導は、教育的指導を行うのが目的であるはずであり、集団指導と同列のものとし、個別指導と監査を分離すべき。この考えに立てば、集団指導と個別指導を行えば十分であり、中途半端な集団的個別指導も廃止した方がいい」。

 指導大綱、監査要綱は1995年の大幅改正以降、微修正は行われてきたものの、基本は変わっていない。指導・監査をめぐる問題は絶えず、指導・監査を苦にした医師の自殺、東京高裁判決で指導・監査後の保険指定・登録の取消処分が違法とされたケースなどがある(『自殺した開業医遺族、鳥取県東部医師会と調停へ』、『国が上告断念、「保険取消は違法」が確定』などを参照)。

 同研究会は2012年2月に発足、こうした現状を問題視し、指導・監査の改善を求め、さまざまな活動を行ってきた(『人権侵害の指導・監査、現場から改善を!』などを参照)。日本弁護士連合会も2014年8月に、保険医等の人権擁護の立場から、「健康保険法等に基づく指導・監査制度の改善に関する意見書」を公表した(『日弁連の意見書、「歴史的な意義は大」』を参照)。

 国会でも指導・監査の問題が再三取り上げられているほか、井上氏が「昨今の指導、監査をめぐる動向」として挙げる一つが、今年3月22日付けの保険医療機関に対する個別指導の実施通知で、「個別指導の運用において、少し改善が進んできたこと」(井上氏)。個別指導では、実施直前にカルテを大量に準備することが医療機関の負担になっていたが、2016年度は、(1)個別指導の実施通知は、「3週間前」から「4週間前」に前倒し、(2)個別指導に用いる患者名通知は、「指導4日前に15人分、残る15人分は前日」から「指導1週間前に20人分、残る10人分は前日」――に変更された。

 改正案は、健康保険法、指導大綱・監査要綱を合わせ、●ページに上る。改正のコンセプトや方向性を示すだけではなく、健康保険法の改正条文、指導大綱、監査要綱の改正案として具体的に提示したのが特徴。その骨子は以下の通り。


健康保険法、指導大綱・監査要綱の改正案(健保法改正研究会による)

1. 指導と監査の体系上の分離
 現状では、指導を中断して、監査に移るケースがあるため、「個別指導の連絡が来ると、保険医は恐怖感を抱く。それを払拭することが必要」(井上氏)。指導はあくまで「指導」とし、診療報酬の返還や保険医指定の取消などの不利益処分を伴う「監査」と峻別する。
(1) 指導は、従来通り、地方厚生局長が実施、監査の主体は厚生労働大臣の直轄に変更
 同じ主体が指導と監査を実施すると両者が連動するために、切り離す。「指導を実施する側が、監査に移行するか否かを判断するのではなく、監査を実施する側が判断すべきもの」(井上氏)。
(2) 指導・監査の根拠法令の分離
 指導大綱・監査要綱(厚労省局長通知)に基づいていた法体系を改め、指導は健康保険法・療養担当規則・指導告示とし、監査は健康保険法・監査規則(厚労省令)とする。「現在は、通知レベルのため、パブリックコメントを求めることなく、指導大綱・監査要綱を定めることができ、国会によるコントロールも効かない。このため指導・監査の根拠を省令以上にする」(井上氏)。
(3) 指導と監査の関連を遮断
 個別指導の措置から「要監査」を削除し、指導と監査を峻別する。監査開始の要件も限定して、監査の独自性を明確化する。
(4) 指導の充実
 レセプトが高点数(例えば、診療所の場合は診療科別に上位8%)を理由に行う、集団的個別指導を廃止して、集団指導と個別指導の二本立てにして、指導を充実させる。「定期的に全医療機関を対象に、定期的に実施してもいいのではないか」(井上氏)。

2. 法律による行政の原理の強化
(1) 健康保険法に憲法の趣旨を充填
 憲法第25条の生存権およびその趣旨を敷えんした国民皆保険制、国民の受療権と保険医の診療権の趣旨を、健康保険法に明示して充填する。
(2) 法段階をグレードアップ
 「1-(2)」のように、法段階をグレードアップして、法律による行政の原理を強化する。
(3) 一般的法原理である比例原則を導入
 監査後の行政上の措置は、「取消処分」「戒告」「注意」の3段階。違反行為の程度を問わず、保険医指定等の「取消処分」の場合は、一律5年。これを改めるため、一般的な法原理である比例原則を監査後の措置にも明示的に導入する。

3. 日弁連の意見書等の意見を実現
(1) 弁護士選任権の明記
 現行は運用上で認められているにすぎない保険医療機関や保険医による弁護士選任権を、法令に明記する。
(2) 日弁連意見書の指摘事項を導入
 保険医等の適正な手続的処遇を受ける権利を保障するため、「患者調査の適正手続化」「録音・録画の法定」「結果や記録の開示の法定」「選定理由の開示」「中断手続の適正化」などを導入。

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