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日歯メルマガ8020達成者50%超の成果とその後の課題 - 津曲
2017/11/22 (Wed) 10:33:33
日歯メルマガ8020達成者50%超の成果とその後の課題
■8020達成者50%超の成果とその後の課題
日本歯科医師会副会長 佐藤 保
平成28年度の歯科疾患実態調査によれば、20本以上の歯を保有している80歳
以上の方の割合が51.2%と半数を超えた。健康日本21(第二次)では8020達成
者の割合について、平成34年度までに50%を超えることとされていた。今回の
歯科疾患実態調査の結果は、目標の半分近い期間で達成されるという画期的な
結果となった。
健康日本21(第二次)は、平成25年度からの10年間の計画であり、基本的な
方針については、「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」を掲げている。健康寿
命とは日常生活に制限のない期間のことであり、その延伸とは、平均寿命の増
加分を上回る健康寿命の増加と定義している。健康格差の縮小とは、健康寿命
の都道府県格差の縮小を指している。
8020達成者が健康日本21(第二次)の目標を超えたことは、全国各地での歯
科保健の推進の成果であることはいうまでもない。同時に、8020の達成が健康
寿命の延伸につながっているのか、都道府県格差をどのように縮小するのか、
また、80歳で20本以上の歯を保てていない方々がまだ半数近くいることに対し
てどのような取り組みが必要なのか、などの課題も挙げられる。
来年は、8020運動が30年の節目を迎える。
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◆2◇ JDAウィークリー ◇◆◇◆
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■第21回中医協・医療経済実態調査結果
(個人立歯科診療所)に対する日歯の見解
日歯は11月14日、第21回中医協・医療経済実態調査結果(個人立歯科診療
所)に対する見解を次の通り公表した。
歯科医療機関に占める個人立歯科診療所割合は79.7%(平成28年)であり、
従来からこの個人立歯科診療所が地域における歯科医療提供の中心的役割を果
たしてきており、現時点においても変わりはない。
その個人立歯科診療所における直近2事業年結果(27、28年)では、医業・
介護収益はわずか0.4%の増加にとどまり、医業・介護費用は0.3%減少してい
た。平成28年度診療報酬改定において歯科診療報酬本体は+0.61%であった
が、個人立歯科診療所における28年度の保険診療収益は27年度と比較して、
0.37%増にとどまっている。また、20年以降における保険診療収益をみても、
依然として低い水準である。13年以降、下降傾向にあった歯科医療費は21年以
降微増となっているが、地域歯科医療を担う個人立歯科診療所の経営状況は依
然として厳しい状況が続いている。さらに直近2事業年の医業費用の内訳で
は、医薬品費・歯科材料費・委託費・減価償却費は減少していた。
医療技術や医療機器の進歩や安全対策、感染対策のニーズに伴い、小規模な
歯科医療機関に求められる設備投資や研修の対応等の負担も増えてきている現
状がある。このような状況の中で、個人立歯科診療所における経営状況は、こ
れまで繰り返し指摘している通り、既に経営努力や経費削減努力が明らかに限
界に達している。安全安心を前提とした歯科医療提供体制の根幹を揺るがしか
ねない状況であり、加えて求められている歯科医療、口腔健康管理の充実を図
るために、速やかで大胆な対応が求められる。
最後に調査方法において、調査票記入上の負担軽減として、青色申告書を参
考として集計することとなっているが、個人立歯科診療所では多くが青色申告
での回答に移行している。必要なデータ収集について、有効回答率を上げる方
策とともにさらなる検討が必要と思われる。
・プレスリリース・活動報告(日歯HP)
http://www.jda.or.jp/jda/release/171114.html
■健康寿命の延伸に向け制度・予算等要望
自民党及び公明党の政策懇談会に出席
自民党の予算・税制等に関する政策懇談会が11月9日、都内の自民党本部で
開催され、日歯、日歯連盟などの医療関係団体に対してヒアリングを行った。
政策懇談会には、日歯の堀憲郎会長と瀬古口精良常務理事、日歯連盟の高橋英
登会長と久保田智也理事長が出席し、歯科界としての考えを述べた。
説明に立った堀日歯会長は、▽50~70代では歯の数が多いほど医療費が少な
い▽口腔管理により手術後の合併症が減る▽噛めない状態だと認知症の発症リ
スクが最大1.85倍になる―などの最近のエビデンスを紹介しながら、骨太の方
針2017に歯科健診・歯科保健医療の充実が明記されたことを受けて、歯科とし
ても国民の健康寿命の延伸に取り組んでいく姿勢を示した。
一方で、歯科が抱える現状の課題として、医療費が伸び続ける中で歯科医療
費だけが長年にわたり減り続けたため、歯科医院の経営状況は極めて逼迫して
いることや、日本歯科医学会のタイムスタディー調査を用いて、我が国の歯科
医療技術の保険評価が極端に低いことを説明した。
その上で、長寿社会では単に長く生きるだけでなく、「食べて」「話して」
「笑う」という日常生活の基本的な機能を人生の最期まで全うすることを目標
として、その達成のために8項目を要望した。
なお、15日には公明党の政策要望懇談会が衆議院第二議員会館で開催され、
日歯の堀会長、柳川忠廣副会長、瀬古口常務理事、日歯連盟の高橋会長と久保
田理事長が出席。9日の自民党の政策懇談会と同様に、制度・予算・税制等に
関する歯科界としての考えを説明し理解を求めた。
≪要望した8項目≫
1.平成30年度医療介護同時改定で必要な改定財源の確保(最重要課題)
2.低迷する歯科医療技術評価、初再診料の是正
3.在宅歯科医療のさらなる推進、医科歯科連携、多職種連携の推進
4.医療介護総合確保基金の歯科における活用の推進
5.病院への歯科医師配置の推進による周術期の口腔機能管理の充実と、地域に
おける医科歯科連携の要の役割の推進
6.成人期以降の歯科健診の制度化等、生涯にわたる歯科健診の推進
7.歯科口腔保健推進室を省令室に昇格するなど歯科行政体制の拡充
8.介護保険部会やがん対策推進協議会等、必要な審議会への歯科の参画
・プレスリリース・活動報告(日歯HP)
http://www.jda.or.jp/jda/release/171116.html
■30年度改定に向け「在宅歯科医療」を審議
―中医協総会
中医協総会が11月10日、厚労省内で開催され、「診療報酬改定結果検証部会
からの報告」「在宅医療(その3)」について議論が行われた。在宅医療の
「在宅歯科医療」の議論では、日歯常務理事の遠藤秀樹委員は厚労省案に一定
の理解を示した上で、日歯としての考えを述べた。
遠藤委員は、歯科の訪問診療は増加傾向にあるものの、在宅療養支援歯科診
療所(歯援診)やかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)を中心に
実施されているため、「さらなる推進が必要」との考えを示した。小児に対す
る訪問診療についても同様に増加傾向にあり、その対応の評価が必要と述べ
た。
また、「かかりつけの歯科医による訪問診療が基本」としながらも、患者の
需要等から在宅における専門的医療機関の必要性に理解を示した。ただし、在
宅専門の医療機関については「診療における専門性を発揮するとともに、地域
の中での連携を図ることは欠かせない」と主張した。
訪問歯科衛生指導料の見直しについては、社保審の介護給付費分科会でも居
宅療養管理指導費について議論されていることに触れながら、「歯科医療は外
科的要素の強い診療であり、患者の求めにより予定の追加や変更が随時発生す
るケースが多いため、月毎の患者数を予め想定する等の対応は困難」と説明
し、在宅歯科医療の推進を阻害することのないような対応を求めた。また、複
数の患者を同時に40分以上指導(集団指導)することに関する見直しについて
も、現場に支障を来たさないよう慎重な対応を求めた。
栄養サポートチーム連携加算の見直しについては、「栄養サポート等におけ
る口腔機能管理は重要」と述べ、今後のさらなる推進に向けて賛同の意を示し
た。
さらに、在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料について、算定要
件である「30分以上」は寝たきり患者に対しては負担が大きいため、分割して
実施されるケースも多いことなどを説明し、現場の実態に合わせて臨床上効果
的な見直しを求めた。
・第369回中央社会保険医療協議会総会(厚労省HP)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000183540.html